[ 呼びつけた斥候部隊の小隊長が姿を見せたのは、男が宴の席から抜け出し、天幕に戻る前だった。>>70
不在を知った後、そのまま待つ事をせず、探し回って来たものらしい。 ]
よく、見つけたな。
[ 氷血将軍は神出鬼没、気を抜けば背後に迫って心臓を凍らされる、などと、怪談のように兵士に噂される男を、探し出しただけでも、たいしたもの。という、感嘆が、男の口から音として出たのは珍事と言っていい。 ]
斥候の任、御苦労だった。
[ しかし、その珍事も一瞬の間に淡々とした事務的な声音に擦り変わる。 ]
しかし、当初の指示よりも深い位置まで偵察したな?あれは、お前の判断か?
[ 鋭い視線と共に為された問いは、或いは糾弾とも聞こえたか。 ]