[束の間触れた指の感触を思い出すように、瞼を降ろして自身の手で指先をなぞる。僅かに上がった心拍数を落ち着かせるように深呼吸を一つ。中々室内から出れずに入れば、扉の外から物音がした。きっと先に彼が自室を出た音だろう。>>72もう一つ。深く息を吸い込んで。気を取り成すと、纏められたままの荷物を手に取り部屋を出ることにした。看板から桟橋へ渡っていけば、先に島に降り立っているソマリの姿が見える。気を引き締めるように、荷物を持つ手を強く握り込んで、彼の下へと向かった。**]