私は幸せ者です。
[もう一本あった蔦がその頬を打つ。それを素手で無造作につかみ取った。
当然棘が刺さるが、痛みを気にする様子も無く更に深く握り込んだ。
流れ出る血がやがてはその本体近くまで滴って]
やっと抜け出せたんです。
あの方のお陰です。
前から憧れてて、だからますます嬉しいんですよ。
[止まる事の無い語り口は最初と違い、少し興奮したように変化して。
蔦を握る手に力を込めた刹那、硬化した血液が蔦を締め付け粉砕する]
だって、ずっと思っていたんです。
[それから異形の、本体の方へと目を向けて]