――…あなた、が、 貴方がまだ、…生きているでしょう、ディーク![彼の鼻からつっと滴る鮮血を袖で拭い、激痛に悶える身体を膝上へと抱き起こす>>52背後から不意に、『失礼します』と断る切迫した声が降った。太い腕に抱え上げられ、取り縋る身体から引き剥がされる] いや、離してっ! お願い、父様が、ディークが、まだ…っ[当主の命を貫く従僕は、息を切らして足掻く息女を馬車に押し込み、縁者の邸宅めがけ馬を駆った>>68血臭に噎せぶ館から、月明かりだけを頼りに]