……ホント、かよ。 これ……有り得ねぇ、だろ……。[片膝ついた状態で、零れ落ちたのは呻くような声。蘇った記憶の中に見えたもの。生まれ故郷を奪ったのは、今、自分が『閣下』とよぶその人――シュラハトの国家元首だったという事実。そして、死の淵から救い上げてくれたのが、上司にして育ての親たる養父。一見矛盾しているようで、その実、今の自分が知っている内情と照らし合わせれば合点が行く過去の事象。それは、思っていたよりも少しだけ――きつい、けれど]