[暗い雨音の中、軍馬の嘶きが遠く響く。ざあざあと落ちる雨の雫は、路地に流れた血>>5:102を洗い流してゆく。王都の人々は不安に慄き、雨の中で眠れぬ朝を迎えようとしていた。夜半に勢いを増した雨は朝方にかけ、次第に小雨に落ち着く風であった。───ぽつん、と。軒先から大きな雫が滴って、地面に落ちた白い羽根>>61の上に飛び跳ねた。どんよりと雨雲の垂れた空が、次第にほの明るさを増していく。長い夜が、次第に* 明けようとし始めている *]