―夜中・広場―
[夜になり、人々の意識が沈んで静寂が浮き上がる。己は一つ耳を澄まして静寂を聞くと、自室の窓から外へと繰り出した。足跡を残さないために近くの木へ降り立つと、いくらか世界に君臨したかのような風情でもあっただろうか。]
……。
[地表へは適当なタイミングで降り立つと、鎖を鳴らすような音とともに雪を踏みしめ、一人颯爽と広場へと向かうのだった。]
[広場へ着けば、彼女は既にいただろうか。居たならば律儀に背後から「エルナ」と声をかけ、いなかったのであれば、エルナの来るであろう方向へ背を向けて、月でも見上げながら待っていただろうか。]