― 前庭海域中央/第三隊 巡洋艦ヘイゼル ―
[腕に抱く姉の身体が段々と冷えていくのを、現実のものとして受け入れたくなくて。
ウェルシュは必死で、その身体を抱き寄せた。
然し、いくらそう足掻いたところで姉の瞼が開くことはなくて。
>>73 押し殺したような啜り泣きの声が聞こえるばかり。
冷たい雨が、暗い海に降り注ぐ。]
―――……。
[どのくらいそうしていただろう。
>>74 ヴィクトリアが自分に声を掛ける。
ふと、視線を上げると、>>15 そう遠くない海からカンテラの灯りが再び瞬く。
先程見た旗船ではない。
旗船よりかはもう少し規模は小さめか、然しやはり堅牢な造りに見える船は、然し、助けを求めていた。]