[田舎風の焼き菓子は、無論沢山あるものではなかったから、
食べさせた相手はごく少数。
ベリアンとソマリにカーク…それにカレルくらいだ。
トールをはじめとする友人たちには、あまり勧めてはいない。
ケチったのではない。
ただ、家から送られる菓子など少し気恥ずかしかったのだ。
ベリアンと暮らす部屋に、人を呼ぶこともあまりなかった。
だから大抵ディークは外へ出て行く。
カレルに焼き菓子のことがバレたのは、確か手合わせ後のソマリとの会話でだ。
それじゃあと、ソマリの部屋に押しかけて菓子を広げた。
カークも必然的に巻き込んだ。ベリアンにも声をかけた。
狭い2人部屋に皆で集まったものだから、
賑やかすぎて煩いと、あとから誰かに怒られた]