[>>74思いのほか素直に応じる様子も、懐かしさを忍ばせるもの。
それは声に出さぬものの、素直に脱がれた上着の下、露わになった身体に在る幾つもの傷を見て息を飲む。
今の戦闘でついた傷の多さもそうだが、あきらかに古傷と分かるものの多さと]
……この、きず。
[背中に残る、大きく歪な爪の痕。
彼が両親たちと住んでいた里が壊滅した理由は、魔物の襲撃と聞いていた。
やはり彼も襲われていたのだろうと──それを乗り越えて、今此処に生きているのだと。
その傷が語っているように思えて、また、瞳に揺らぐ雫が浮かび]