─ 平原・盾兵部隊side ─
[自分達の部隊が加わったとて、戦況に大した差は生まれない。
光明を挙げるとすれば、若き隊長を屠った敵の長が一旦戦線から下がったことか。
隊長の亡骸も下げられたことで、彼の部隊の者達の士気がより上がったのも利といえば利、なのだが。
その熱が彼らの冷静さを奪っているのもまた事実で]
『前に出過ぎるな!
気に逸った突出は相手の思う壺だ!』
「正面から受けるな、盾ごと貫かれるぞ!」
[比較的軍属の長い者ばかりが集まっている自隊の兵が、隊長を亡くした部下たちに声をかけながら戦っている。
それがどこまで耳に入っているかは分からないが、少なくとも特攻する者の出現は抑えられている様で。
このまま消耗させられ続けるなら重畳だが、あちらもそれは避けたいだろうと、敵の長が下がった方へと視線を向けた]