─ 回想・アイリと ─
[ 溢れるため息に続いて漏れたのは祖父のこと
そして置かれた兵法書。 ]
おじ……祖父のことを……、
はい、そうですね。
祖父はこれしきのことで揺らいだりするような
心の弱い人間ではありませんでした。
あたしも、
[ そう。信じられる人を見つけたら、
その人だけを信じて、貫き通せと。
語った彼女のことを、思い出す。
ああ、彼女もまさにアイリ総督の、部下じゃないか
一貫した強い信念と、まっすぐな瞳
アイリもまた、憧れた先輩と同じことを言うのだ
ここで、ひとつの想いが、芽生える
きっとこんなことを言ったのはあたしの気紛れ ]