[どこかへ気を逸らしていた女は、ジークムントの声で漸く事に気づいた。粉が爆ぜ炎が揺らめいてみえたのは、ジークムントの、そしてシメオンの背の後ろから] ――……、シメオン…[ああ、やはりと微かに泣きそうな顔を浮かべ、その名を口内で呟く。ジークムントの声に痛みが混ざった気がして] ――…私、は大丈夫…ですが… 貴方は、ジークムント…っ?