[ ソマリの顔を見る。
そして、振り返って魔物の方を見る。
ソマリが動けないならば、自分がやるしかない。
ソマリの剣を受け取って、魔物の心臓を貫くのだ。
あるいは、魔物のくちびるに、左腕の傷から尊血を垂らすのでもいい……。 ]
[ ……だが動けなかった。
使徒に、一撃で膝をつかさせる魔物。
恐ろしかった。
教会の外に出られたのも、魔物の城へ乗りこめたのも、
神子と、無敵の使徒たちが常に傍に居たからだ。
なのに。
こんな時にどうしたらいいのかなんて、聖書に書いていない。
ユーリエはその場に立ち尽くした。 ]**