[ひと時の小休止、僅かな待機の時間。
不気味な静寂を破ったのは女性の悲鳴>>63だった。
どこかに躓きでもしたのか、真っ直ぐ此方へ向けて
転ぶというよりは、飛んできた。]
いや、避けろよ――!?
[突っ込む時間はあった。
しかし壁に叩きつけられた衝撃の余波が抜けず
女性の体が自らの上へ降ってくるのを目だけが
ゆっくり、ゆっくりと捉えていた。>>63
なんだこれ、前にもあったような。
そうだ、ベルティルデと初めて会った時の…
人は生命の危機を感じた時に物がゆっくり動いて見えるという
つまり、ダーフィトの頭はこの状況を
生命の危機と判断したわけで――、]