(俺、まだ武器呼び出せてねえんだよなー……)
[精霊の欠片を手にしたなら、それを核に武器を生み出すことが出来るはずと。
神官の誰かから説明は受けていたし、実際に召喚された側でそれに成功した者もいると聞く。
しかし、男は自分が扱うべき得物のイメージを、未だ定められずにいた]
そりゃしっくり来るのはバットみたいなやつだけど、バットは人に振り下ろすものじゃねーんだよ。
[アイルリートや周囲の誰かに問われれば、そんな風に弁解する。
なまじ使い慣れた道具があることが、正しいイメージを持つことを阻害しているのかもしれなかった]
ま、あの神官長が親切に待っててくれるとも思えねーし。
ぶっつけ本番、やるしかないか。
[一応鍛錬所の棍棒を借りてきてはいるが、世界を脅かす存在に対し、通常の武器がどれほど効果を発揮するかはわからない。
それに――本人の前では禁句だが、アイルリートの武器は拳。攻撃力が高いとは言い難い]