― 敵船 甲板 ―
[飛び移ったら、後ろは振り返らない。
それは、周囲が敵ばかり、というのもあるが、何より、仲間を信じるが故の事。
『かえる場所』は、失われない。
そう、思い定めるからこそ飛び込んでいける、と。
そんな思考はとてもとても、後見人に似ているのだが、白狼児にその自覚は、ない]
……さーてぇ、とぉ。
[周囲を囲む敵兵に、向けるのは笑み。
着地後の低い姿勢のまま、くる、と返した左手に鋼糸を巻き付けて]
いっちょ、派手にやってみっか、なぁ……。
[呟きと同時、瞳の色が淡い金色に変わる。
普段は抑える、妖の力が目覚める兆し]