そう、花[苺を摘み上げた指で、柔らかな薄紅にそっと触れた。ローゼンハイムの小屋からは遠いあの洞穴よりももっと奥に行ったところにそれは見事な、一本の桜の樹があった] 綺麗だろう ……食べちゃ、駄目だよ[これよりずっと薄くて、柔らかくて甘い色をしているその桜はもしかしたら、昨日の嵐で、散ってしまったかもしれない]