[そのまま来た道を戻ろうとする同僚が、ふと足を止めてこちらを振り返り]
お、どした?
俺も行くとこあるやろって…あー…まぁ、そうだけどなぁ。
今あいつ忙しいやろし、後で顔出そうと思てるとこ。
いや、流石に持ち場抜けれんやろ。こんだけの人手やし。
[投げられた問いは、元同級生で現在上官である彼女の所に行かないのかというものだった。
派遣部隊に属した当初、わざわざ忙しい所を邪魔するのもと思って基地に戻っても顔を出さなかったことがある。
その時彼女の方から首根っこ掴みに来た挙句戻ってきたなら顔見せぇと怒られたのが未だ印象強く残ってるらしく、基地に戻る度誰彼と彼女に顔を見せたかと問われるのは毎度のことになっていた。
また首根っこ掴まれるぞという茶化しには笑って手を振ると、同僚も笑顔で踵を返しこの場を後にしていった]