[甲板に一行の中では異質な方の姿がひとつ。船べりにつかまり海を眺めながら]
波風は穏やかそうだ。
[ゆったり纏った布の下の衣服は、黄色と黒を基調とし露出が高めであり、その肌の色は浅黒く、
南東群島諸国の出身であることをほとんどの人は察することができるだろうか。
ただ、その見た目や女性の一人旅というインパクトの大きさゆえか、不自由なく言葉が通じることに疑問を持つ人となるとその数は少なく、
自分の正体を知る者はほとんどいないことだろう。祖国では野良猫姫などと揶揄されていることまで知っている人となると南東郡諸国に対して相当な情報通といえる。
何かと面倒なことになるので、公に自分の身分を明かすつもりもないし、そもそも本名が長く、こちらの国の人たちには慣れない発音の為、偽名で通している]