[一本の道が真っ直ぐ、山間の奥にある銀雪の村の入り口まで続いている。
村の名が刻まれた看板の下にはススキが風に揺れていた。すっかり冬めいた風がアルビンの黒髪を揺らす。
その村は、冬になると深い雪に覆われる。訪れる者は少なく、出て行く者もない。
アルビンはもう一度やって来た道に目をやった。人気のない寂れた道には木々の陰が落ち、時々強く吹き抜ける風に草木が力なく揺れるだけ。
看板の向こうは、もう村。農園や牧場、教会。そういった建物が点在しているだけの静かで寂れた場所だ。
少なくとも、アルビンはそう思っている。アルビンはこの村が好きではなかった。]