― かつての王宮の中庭で ―
[ふわりと、温かな感触が頭の上に乗る>>68
涙に濡れた双眸が一度大きく見開かれた。
静かな、凪いだ音が彼の心を伝えて来る。>>69
淡々ととすら形容出来そうな声を、ウェルシュはじっと聞いていた。
”望まずとも終いにされた者”と。彼が言う。
沢山いた。たくさん、見知った顔が消えていった。
大切な人が命を落とした。
諦めてしまうことは怠慢だろうか。
腑抜けてあることを、彼らは良しとするであろうか。
苦渋を乗り越え糧とせよと言ってくれた人がいた。>>4:130
不意にその声が耳に蘇る。肩をそっと押すように。]