[長い刃のような形をとったそれは、底知れず黒く、輪郭は蠢いて定まらない。
喚び出した剣を手に魔人は竜の首の横に立ち、構えも気を入れもせずに、ただ剣を下ろした。
竜の堅固な体は闇に触れる先から塵へと変わり虚空へ吸い込まれ、刃は易々と竜の首を切り離す。
返す刀で胴を裂き、未だ鮮やかに赤い心臓を慎重に切り出した。]
竜の頭と心臓を荷車に乗せろ。
城に持ち帰る。
残りは適当に始末しておけ。
魔術師どもはそれに、冷却魔術をかけ続けろ。
[黒い刃を虚無に返して命ずる。
自分も城に帰る気でいるのは明らかだった。]