……さて。
いざ話そう、と思うと、どこから話したものか。
事の起こりは……今から六年前、かな。
一度、こちらに戻る心算で旅をしている途中で立ち寄った村に、人狼が現れて……。
[被害が出て、疑いあいと殺し合いが始まって。
その騒動の最中、旅の連れが人狼である、と判じられて。
その事実に惑い、抗った事が悪い方向に繋がった]
……最終的には、人狼たちに村は蹂躙されて……ぼくも、深手を負って……。
傷を受けた時に、『何故、こんな事を』って聞いたんですけど。
……笑うだけで、何も、教えてはくれなかったんですよね、彼らは。
[言いながら、手は傷を受けた辺りを抑える。
傍らの猫が、にぃ、と鳴いた。*]