― 帰り道 ―[店を出て、来た道を戻り、家を目指すアルビンとパメラ。昼間とは違い湿気を含んだ空気は重たく、夜空に星が見えないのは淋しく感じたが、夏の夜の醸す濃厚で爽かで多少腕白なところもある雰囲気にアルビンは浸っていた。今夜は良い晩だった。素直に口にはしないが、オットーの作った夕飯は相変わらず美味かった。カタリナの穏やかで控えめな声が酔っているアルビンの鼓膜を心地よく揺すったのを覚えている。それに他の客にも居て賑やかな晩餐だった。]