―その前日、教会にて―[どんなに記憶の糸を手繰っても、金色の花の名は思い出せなかった] ……ごめんなさい。 でも、きっと思い出しますから。[リゼットの思いつきのような言葉に付き合い、花の名を挙げながら一緒に考えてくれた二人に詫びる。それでも未練がましく花の名を思い出そうとしていると、神父からもう日も暮れるから、帰るようにと窘められてしまった。神父に倣ってリゼットも窓に視線を向けると、眼に映るのは暗く陰鬱な鈍色の空]