― 回想:満月の夜ベリアンと ― …やっと。見つけたわぁ。 ベリアン・サルーク。[満月の明かりに、ベリアンの漆黒の肌が浮かび上がる。娘の仇。追っていた相手。…闇の魔道に魅入られた者。禁断の魔術に手を出すことは当然誉められた行為ではないが…魔術師なら何処かで覗き込んでしまう深淵だ。 ―――闇色に染まった者だけが、道を踏み外した者ではない。…、何処か同類を見る心地を、首を振って月夜に払い落とした]