― 夢を見ている ―
[毎日、毎日。
擦り切れたシネマのように、赤茶けた色の夢を見る。
それは戦争の記憶。
軍に身を置いた年月は短くない。
上に言われるまま消耗品のように何度も戦地へ赴けば、
血や硝煙の匂いなど嫌でも覚えてしまう。
夢なのに、脳が勝手にそれを再現しているのだ。
日に日に激しさを増す戦況。
一体何のために戦っているのか男にはもう分からなくなっていた。
とある戦場で、男は昔から良く知る悪友と同じ隊を組む事になる。
幾度か顔を合わせた事があったが隊を同じくすることは始めてだった。
喜び、戸惑い、不安。
色々な感情が綯い交ぜになり実に複雑な思いをしたものだ。]