こうなるッてことくらい、
分かりきってたんだろうに、なあ?
[軽い調子で背後の腹心へと声を投げた。
タクマ・ナギ。
男の副官であり、文字通りに”心”預ける腹心である。
最初にその特異な絆が顕現したのが正確にいつだったかを、男は覚えてはいない。あの乱戦の最中であったことだけは確かだ。
16年前、島国オルヴァルを巡ってモルトガット帝国と激しい戦火>>55を交えた。ウルケル海軍は傭兵としてこの戦いに加わり、激烈な戦いをオルヴァルの海軍と共に帝国相手に繰り広げたのだ。
その最中、ある男の命を───彼の艦を救難せんとし、辛うじてではあるが───どうにか救った。それがタクマだ。戦いの最中に”声”を聞いた。
夢中になって戦い抜き、どうにか生き延びたと息をつき、やっと、彼と特殊な声が交わせる事実に気付いた。当時は随分と仰天したものだが]
政治家どもが、吹っかけやがって。
[肩を竦める調子で今は慣れた声を投げる。]