[もし誰かがこの殺伐としている場に現れたとしても
一瞬そちらに視線が流れてしまうかもしれないが、介入しようとされない限りは意識がそちらへ向く事はない。
対峙しているクレメンス以外に余計な被害者は出したくないから、男の方から他へ意識を抜ける事はないだろう。
閑話休題
脇腹を斬られた反撃にと振り下ろしたナイフの一撃は、深い傷を負わせる事はなかったが服に血を滲ませる程度の擦り傷を負わせてしまった。>>63]
(やっべ…!?)
[その後の追撃も当たってしまうのではとつい心の中でそう漏らしたが、クレメンスが後方へ下がって避けてくれたのを確認して胸を撫で下ろした。
しかし、それで隙が出来てしまっていたか。
避ける暇もなく男の胸に強烈な蹴りが炸裂
そのまま蹴り飛ばされる形で壁に背中を叩き付けられ、その衝撃で手にしていたナイフを離してしまい床に転がり落ちた。]