あー……はいはい、と。
[手当てを始める、という言葉に、頷きひとつ。>>72
逆らえない、という感覚は一体どこからきているのやら。
恐らくは、見えぬ帳の向こう側なのだろう、とは思うけれどそれはそれとして]
……んじゃ、頼むわ。
[痛みは大分和らいだけれど、傷が完全に塞がるまでは固定しないとまずいから、と。
言われるままに傷を見せるべく上着を脱ぐ。
胸ポケットに入れていたあれこれは、あの戦いの中でも無事だったようで、それに安堵の息が落ちた。
諸肌脱げば、鍛えられた身体のあちこちに新旧大小取り交ぜ様々な傷痕が見て取れる、が。
一際目立つのは恐らく、背に残った歪な爪痕。*]