[人は、ウォーレン・コリドラスを狸と呼ぶ。
本心を笑みに紛らせ飄々として食えぬその様は、確かに狸と呼ばれるに相応しいのかも知れない。
けれど男は、この将軍が好きだった。
男の目には、コリドラスは言われる程の狸には見えていない。
どころか、むしろ人より真っ直ぐなところすらあって、例えば今もそうだ。一枚岩であればなど、他に口にする者があるものか>>2:319
いかに韜晦してみせようとも、その本心では国を思い人を思い、己の正義を心に揺ぎ無く立て己の職分を全うする。
男の目からは、コリドラスがそのように見えていた。
だからこそ、逆に偽ることも警戒することもなく、信じるに足ると思える、数少ないうちの一人ですらあった。
見送りに出てきたのは、だからそういうわけでもある。]