「あ、アリーセちゃん、いいところに!」
背後から掛けられた声に振り向くと、グラマラスな身体をスーツに包み、ロングヘアを後ろでひとつききりと結えた女性が、タイトスカートの裾も悩ましくこちらに向かって歩いてくるところだった。
「あら、ラートリーさん。何か?」
いつもと違うのは、その左手が、若葉をはじく光を更に眩くきらめかせている事だ。
「新しい依頼なんだよ。それで、君にちょっと力を借りたくて」
そう言う人も、やはり少し前とは違っている。彼女の後を追うようにしていたのが今はその横に並び立って。
「ええと、私に出来るというか、わかるのはお花のことぐらいですけれど……お力になれるなら、何でも。カナンさん」
そんな彼らをまばゆく、少しだけ羨ましく思いながら、そう答えて微笑んだ。**