[常に比べれば苦手意識を覚えない口調である筈なのに、そうである事がとても辛く感じたのは、矢張り、これが平生でないと思わせるからだろうか。
飄々として軽薄な笑みの表情なんて、浮かべられもしなかった。]
恒久の平和は、いつだって人を貶める。
海外世情、周辺諸地域の動向、
それに応じた危機感…。
どれを取ってみても、この国の、
中枢を担うでもない民衆には足らないものだ。
…それでも生活できるのは、寧ろ良い事だ。
民衆に害が及ばないという事なのだから。
[だが、然し。
それは中枢が機能し、命令系統が正常に動き、明確な力関係の元、皆がそれを重んじるからこそだ。
今の現状では凡そ、そう遠くない未来にこの国の名前は地図から消えるだろう。
内紛で疲弊した国は格好の餌食なのだ。]