―朝・パン屋―
[朝目覚めると、そこは雪国だった。降った雪は瞬く間に、この村を外界から分断してしまったのだろうと悟る。肌寒さも覚えてはいたものの、改めて実感したのはペーターの吐く息の白いこと>>30を視界に捕らえてからのことだった。]
そうだね。雪はかなり積もっていると思う。
外出するなら気をつけて。降雪が酷くなった場合の判断は任せるけれども、危険を感じたら無理に戻ってこなくて構わないから。
[本当にペーターを心配するのであれば、引き止めるべきなのだろうか。そんなことを考えつつも決して口には出さず、彼が朝食を終えて出発するときにも、ただ見送るのだった。]