[血に濡れた指先で、胸元に下がる銀製のロケットペンダントに触れる。蓋に描かれている鍵の文様が、生の粒子に触れて内側から輝く。僅かに若返りながら幾つかの呪を重ねて、ベリアンを…その闇の魔道の香を追った。長年魔術を嗜んだ者の底力と執念、一方のベリアンが《奈落の書》を手にして日が浅かったのが重なったおかげだろう。幾つもの昼と夜を重ねた或る満月の夜―――魔女はベリアンの姿を捉えた]