[隣へ腰を下ろそうとするソマーリュに気づき
置いていた制帽をテーブルの上へと滑らせた。
物怖じせず、人懐こい彼の行動を知っているからか
特に気にする事なく招いただろう]
[無論、そのしなやかな指先が黒髪の先を掬い上げても、厭うことなく目許を緩ませ]
さあ、特別な事は、特に。
時々、王子が柘植の木の櫛で梳いてくださる。
[彼に黒髪を触れさせるまま、新たな来訪者の気配に気づいて視軸を凪いだ。
オズワルドだ。彼の博識ぶりに肩を竦ませ、微かに微笑む]
流石、詳しいのだな。
オズはコックか執事のようだ。
この、コケモモのジャムも、君が…?
[余り行儀が良いとは言えぬ方法で、紅茶にジャムを入れて愉しんでいる男、
皿へ僅かに残るそれを指先で指し示し]