[アルビンから見える横顔は、化粧っけのないものの、
紅も塗っていないのに赤い唇。薄紅色に染まった頬は、いくら男装をしていても女である事実をはっきりと認識出来ただろう。
何故、性別を偽るのか。アルビンは不審に思っただろうか。けれども、かつで旅人の身であった者であれば。女性の一人旅は危険だから、体の線を隠すのも帽子で顔を隠すのも、偽名を使っているのも、恐らくその為だと察せられただろう。身体を脱げば再び帽子を被り直して旅人を装う。]
[その後は、アルビンの淹れたお茶を飲みながら。雨止みまでの僅かな時間を穏やかに過ごしたんだったか。*]