[>>49焼却炉へと向かい、一歩、足を勧めようとした所をクレステッドに抱き締められ、止められた。
彼が正しく彼の侭に無事であった事に安堵する。
身体は丈夫になったとはいえ、元は人の心、仮死状態に陥って、彼の侭、元に戻れるものかと心配していたが杞憂だったようだ。
それと同時、叱られる前の様な酷く居た堪らない気持ちに襲われる。
自分は今日迄の恩義に報いる事も無く、何も言わずに此処迄来てしまった。
「ありがとう」も「ごめんなさい」も。
彼の口から「さよなら」を聞くのが、怖くて。
彼は、勝者。願いを叶えきっと此処を去る。
自分は、敗者、そして…彼すら裏切った、裏切り者]
[自分から何か言うべきか、けれど何を話していいかわからず口を閉じる。
断罪の瞬間を待つように、身動ぎもせず、ゆっくりと、静かに、*目を閉じた*]