― 2F浴室 ―
[城主>>0:38とは反対に温もりを好む男は、いつもこちらの浴室を使う。
影により常に温かな湯を張る浴槽を確認し、血と泥に汚れた服を脱ぎ捨てた。
青白い肌には過去の傷は残っておらず、左手でシャワーを捻れば、滑らかな肌の上を湯が滑り落ちた。]
……ふう。
[右腕の傷はぴりりとした微かな痛みは残せど、ほぼ完全に塞がっている。
石鹸の泡と湯で洗い流してしまえば、痕跡すらも消えてしまった。
ざんばらに切り揃えられた黒髪を抓み上げれば、震える睫毛の上から水滴が落ちる。]
久々のこれは、結構堪えますねぇ。
過去は過去だというのに、随分弱くなったものです。
[自身に言い聞かせるような囁きは、誰も味方のいなかった数年前までのように、一人の浴室へ響いた。
濡れて張り付く髪を後ろへ撫でつけ、広い浴槽へと浸かる。
流れた血液は湯と混ざり合い、桃色の水玉が空中へと浮かんだ。
指先でそれらを弾きながら、ぼんやりと中空を見つめている。**]