― 灼熱の闘技場前 ―
[意識を集中させるほどひびく頭の痛みに、視線は自然と険しくなる。
一度目の戦いを知られれば、二度目の戦いは易くないだろうと、空気にぴりとした物が色濃く混じった。
歓声と野次に促されるように、大人しく闘技場の中央に進み出て向かい合わせた相手は、先程の牛頭と比べれば頼りなくも見える相手。
だが進み出る歩の進め方や、体つきやその手にした剣からは、相応に腕が立つ事がうかがえる。
>>56表情変わらず、だが赤く落ちた一筋に古傷でも蘇ったのかと、再会の熱を感じる事なく目を細めた。]
お前、右目が失いのか。
……残念だな。
[名も知らぬ相手に何故だか解らないが、そんな言葉がついて出た。
先ほど>>0:325牛頭の目に剣を立てたのは殆ど無意識だったが、おそらくそれが自分が得意とする事で、だから右目が無い事を残念に思うのだと、そう思った。
――当の昔、自分が奪った