[先程まで、薔薇や小間使いと戯れていた気がするソマーリュの姿を
すぐ傍に感じ、はっと我に戻る。
今日は王子の伴ではなく、独りで遊んでいたのだとそう告げて。
静かにカップを摘み上げ、伏目がちに褐色の茶を味わう。
先程、言を交わしたオズワルド自ら淹れてくれた紅茶であると
気づいたのは、気の利いたコケモモのジャムを目にした時だった。
少し上機嫌な面持ちで、ティスプーンでジャムを掬い
カップへ静かに落とし]
兎も旨いが… あれは余り、面白くなくてね。
[地を跳ぶ獲物よりも、羽持つ獲物を地に落とす方が楽しい、
とまでは言わなかったけれど。
無論王子が求めた際には、鹿や狼、熊の類を狩ることもあるのだが]