― 戦闘終結後 ―[ カーマルグ半島での戦闘行為が収束を見せ、王国とゼファーの軍勢がそれぞれ拠点へと引き上げた、その夜、男は、夜陰に紛れて、元首の天幕へと忍び込んだ。見張りの兵を昏倒させてまでの、完全なる不法侵入である。 ]元首殿、話がある。[ 普段、二人きりの時にはせぬ呼び方で声をかけ、ゆっくりと近付く、その手には、一振りの抜き身の短剣が、冷たい氷のような刃を光らせている。* ]