……強かったよなあ……。[ふ、と零れ落ちるのは小さなぼやき。当時は経験など殆どない、あらゆる意味で駆け出しだった。そしてそれ故の無謀さもあり、挑発されるままに挑んで、こてんぱんにのされた。それでも、負けを認めるのが悔しくて立ち上がろうとした。諦めるのがどうしてもできなかった。その様子が、先代に何を思わせたかはわからないけれど。ただ、彼の人が求めていた何かと合致したものがあったのは確かな事で]