「貴方は無抵抗の、丸腰の人間を私情で斬らない」
「正道から外れた身には、その正しさが憎らしくも思える」
[ ファミルの言葉が男の胸に蘇る。今の男は厳密には丸腰ではなかったが…多分、同じ事だ ]
無抵抗の人間を貴殿は撃たない、と、そう思ったからな。
[ だが、男は、ファミルの言葉には触れず、ただそう言って ]
正直言えば、引き金が引かれた時には、少々びくついた。
[ ルートヴィヒに白状して、肩を竦めながら ]
(どんな計算をしても…人は恐怖を完全に忘れられるわけではない…)
[ 波間に沈んだ花の勇気を、思った... ]