―回想・幕引き(TAKE2←)―
(…負けた、か。悔しいな…)
[興味本位で参加したこの人狼劇、「おおかみ」という役職に最初は戸惑ったものの、いつの間にか全力でこの役割を演じていたのだろうか。
負けとなってしまった今、湧き上がるのは「悔しい」の一文字であった。]
――あ、吊り時はコンさんに私が一思いに 【斬】サーベル お見舞いしてさしあげますね――
[振り返るとそんな彼女の声が聞こえてきた。
彼女の手で終わるというのならそれもいいのかもしれない。
元気いっぱいの彼女の笑顔に一種の頼もしさを感じながらサーベルを手にした彼女を見る。」
(…?)
[彼女は客席に背を向けサーベルを抜く。刃を受ける俺だけが見た彼女の表情は、勝者の笑みでも、重要な役目に意気揚々としているというよりはむしろ…]
(なぁ、ベル。俺はもっと…お前には笑顔で…)
―――人狼劇の幕はそこで降りた―――