[鍵の方向が分かったらしい吾様の指示に従って、弾を撃ち尽くす勢いで――実際わりとギリギリのところだった。たくさん持ち込んでいるつもりだったのだけど――やっと扉の前まで辿りつけた。
少し離れたところで立ち止まっている敵と、ここにくるまでにずいぶん汚れてしまった彼の顔を順に見る。もう安全、なのだろうか。
大丈夫らしい、と少しだけ気を抜いた笑みを浮かべて手をこちらに伸ばしかけ。思い出したようにその手を引っ込めた。彼一人全身酷い状態なのだ。
さすがに気付かないなんてことはない。ポケットを探ってハンカチを取り出し、顔や頭に飛び散った汚れを腕を伸ばして拭ってあげるけど、さすがに全身は無理だ]