どうやら、貴女も、これで帰れそうだな。よかった。[ そうして、道しるべと言われた花を手にしたジルに、安堵の笑みを向ける ]ジル、貴女に会えて、嬉しかった。俺は、もしかすると...誰かに名を呼んでもらうために、ここに来たのかもしれない。[ 死して後も、現世で名を呼んでくれる人たちは居た。けれど、誰にも、答えることは出来ず、手を差し伸べることも叶わず、長い時の間に、男の魂の奥底は、知らず知らずのうち軋んで痛みを覚えていたから ]