[しかし、こちらを殺しに動くには死神についての情報が少ない事が難点か。
手掛かりがあるとすれば……妻の指輪に内蔵されている何かぐらい。
そうして賭けに近いが思い付いた案を実行すべく、目の熱さが引くまでラヴィには待ってもらった上で]
……ウサ公、ちょっと頼みたいんだが
この指輪、クレメンスに届けてくれないかね
”落し物拾ったから、一番先輩の警備員さんに届けてほしい”って、目付き悪い人に言われたってさ
忙しくなさそうな時に渡してやってくれ
今バタバタしてんだろうし
[「一応捨てないでくれ、とも伝えてな?」と加えて
首に下げた指輪のうち、妻の指輪だけを取り外してラヴィに託した。
多分ラヴィは不思議に感じるだろうけど、ちゃんと届けてくれるはずだ。
俺から送られた物だと気付いたら捨てられる可能性だって無くはないけれど
ホログラムを介してわざわざ指輪を渡されたとなれば、何かあると判断して調べてくれる事を祈るのみ。
無事に託した後は……少し休んでからメイン・サロンのレストランで物色させてもらうとしよう。
現場である貨物室へは行かない、少なくとも血やその匂いが強く感じられる場所へ今すぐ向かうリスクを犯す必要はないだろうから。**]