

[ただいま、と囁きを静寂の中に混ぜ。
星の降る夜空を背景にして、彼女の膝を借りた。
彼女の誘いは、万有の引力に勝り、白銀色が膝元へ。
己の上着を纏うままの彼女、自然と外耳に柔肌に感じつつ、
細い髪で擽るようにゆるく頭を揺らす。]
―――此処を独り占めしたくて帰ってきたのですから。
ほら、貴女の好むヒトの物語では、
こういった時、如何するのでしたか。
―――…結末を忘れてしまいました、もう一度、教えてください。
[遥かなる記憶貯蔵を持つ癖、素知らぬふりをする。
持ち上げた腕が彼女の首裏に回り、圧で傾けさせる上体。
問いかける呼気が夜露より早く、彼女の唇を湿らせ。]